fujinosekaic’s 世界史授業備忘録

世界史教員生活30年記念

難しい問題です。高校生には厳しいか?

不法占拠者排除と「施し」禁止条例
 ジャカルタやスマランなどの大都市には、潜在的「ホームレス」としてKampungliarと呼ばれる不法占拠地に極めて多くの貧しい人びとが住んでいる。彼らの大半i土地方出身者で、農村で食い詰め、農地を放棄して都市に移住して来た家族連れである。礎材やブルーシートで小屋を建て、廃品収集、小高業、ベチャ(自転車タクシー〉引きで糊口をしのいでいる。都市開発、インフラ整備事業を進めるため、あるいは都市の「美観」を損なうという理由で、ジャカルタなどの地方自治体は、不法占拠者を暴力的に排除している。一方、インドネシアの住居と定住に関する法律(Undang-Undang No.41992,Ar ticle5[1J)では 「健康、安全かつ整った環境にある適切な註屠に住む権利」をすべての市民に認めている。しかし不法占拠者は17歳以上の全冨民が持つ身分証明書(kartu tanda pendudul王KTP) を持たない。 これは選挙権や教育などすべての公共サービスからの排誌を意味し、最悪の場合「共産主義者」として政治的弾圧すら受けかねない。
「物乞い」 もまた排除の対象である。ジャカルタなどの大都市では、ショッピングセンタ一、デパートおよび市場周辺、交通量が多い信号付近で「物乞い」をする女性や子供は、警宮によって追
い払われる。警官が去るとまたすぐに現れる。このイタチごっこに業を煮やしたのか、ジャカルタ特別市は、2007年9月、路上の「物乞い」、ストサートチルドレンに金を与えること、違法な物売りからの物品購入を禁じる条例を制定した。罰則は10-60日の拘留あるいは10 ($11) -2000万ルピア($2100) の罰金である。この条例は全国の大都市に広がるかもしれない。

インドネシアにおける「ホームレスjと「物乞い」
一一ジャカルタとスマランにおける課査の中間報告一一
巨次
I はじめに
E社会経済の概況
E調査対象と方法
百開き取り講査の結果
V暫定的考察
百おわりに
Zはじめに
1994年、鶴見良行先生の下で学びたいと、龍主主
大学大学院経済学研究科に入学した。先生の詔分
で初めてインドネシアを訪れることになった5 調
査直前、先生は突然、帰らぬ入となった。先生iこ
開けなかったたくさんの質問と、大きな悲しみを
胞に抱いて、インドネシアの土を錯んだ。以来日
年、ず、っとこの国の人たちと関わり続けてきた。
筆者が親しくしているのは、ジャワの零細自営
業者だ。市場の物売り、行商、食堂経営者、食品
加工業者、土地なし農民、海外出稼ぎ労働者など
である。誰一人として金持ちはい会い。誰一人と
して欝い入もいなし」しかし彼らからもらったも
のは計り知れない。
鶴見先生はよくこんなことを言っていたo Iア
ジアをよく見てから日本に婦ると、日本のおかし
さがよく見えるJ当時は、その意味がわからなか
ったむ中部ジャワ州スマラン(Semarang) 県ア
ンバラワ(Ambarawa) という人口10万人ほどの
小さな町の小さな斎場に毎日通って、女性小商人
2007 No.38
鵠田ミカ 

http://opac.ryukoku.ac.jp/webopac/KJ00005241954._?key=IFGNUZ