fujinosekaic’s 世界史授業備忘録

世界史教員生活30年記念

虫喰い穴埋めからの卒業を! Flying Indian or Fried Indianか?ら

虫喰い穴埋めからの卒業を!  

OECDシュライヒャー氏とも話したことでもあるが、日本の教育もコンテンツからコンピテンシーペースに変更しなければいけない。特に世界史! 穴埋め問題の解答を覚えるって言うだけの授業(なんてやってんのは日本だけぜよ!)から、調べたり比較したり検証したりする授業が大切だということ。この視点に立って考えたのがこの授業である。さらに、「従来の歴史教育は、一つ一つの史実の構成を理解すれば、歴史事象を理解できると考えられてきた。その結果、歴史学習においては、史実の理解や記憶に重点が置かれ、どれだけ歴史的事実を正しく知っているかが、理解しているかnor rather単なる暗記しているかどうかが学力のバロメータになっていた。その結果、歴史的事実について名称は知っているが、それがどういうものかを説明できない 、、、

他の史実や方法を意味あるものにしていくための一つの方策として、概念に着目し、史実を概念を使って理解し、同様の史実と比較したり、つないで考えるといった授業方法の在り方 を 模索 していくことを常に考えて授業を構成している。

また、いかに「楽しめる」かを考え、教材を取り上げ資料を活用していく。とかく教科書では各地域史研究室の力学とページや行数の取り合いになった結果、世界史であるにも関わらず世界を俯瞰的にみる記述は少なくなる傾向にある。

本時においても地図と言う資料をいかに読み取り、それが歴史的事実とどうリンクしているかを検証することが大切であるまた。また前時の授業で考えたこ、今日の授業の関係を把握し、次回の授業との関係性を考えることが最も大切である。

本時では、ロシアの東方政策と何か政策を視覚的に確認し、大英帝国がどのような対抗措置を取り得るだろうかを、あたかも英国外務省や英軍が図上演習したうに、地図上で確認していく。またヨーロッパ諸国が植民地においてどのような占領政策を行ったかを考える鉄道敷設と産業の関係性を把握することにもなる。

とかく歴史学習であると時系列を重視し、各国史の政治史にとどまってしまうのは世界史Bの置き土産であろうか。英国であれば英国の展開のみを学習すると言う形態が多いかと思われるが、むしろ対抗側カウンターパートであるロシア側(ネル、キャフ、あいぐん、北京、イリ)のロシアの動きを確認することでイギリスが抱えている問題を認識することができる。これこそが下記右方向の白抜きの矢印Eastern Questionである。

007 ロシアから愛をこめて』(From Russia with Love)は何鉄道だろうか?からやってきた授業展開の応用です。パリ発ウィーン - ブダペスト - ベオグラード経由 イスタンブール

てことで、授業ベルの代わりにJRのオルゴール(鉄道唱歌)から授業を始めました。


 例えば、作業①から⑤(各5-8分程度)

①まずは激戦地のクリミア半島へ南下してみる。まさにロシアより砲弾を込めてです。

ロシアの鉄道網がどのように構成されているかを考える前提として、現在戦争がプーチン政権によって継続されているクリミア半島周辺はどのようになっているかを確認する。

中央アジアカザフスタンキルギスなどスタン各国への鉄道との関係性もある。

モスクワや当時の都であるサンクトペテルブルクと結ばれていることを確認する。

さらに

シベリア鉄道は東に進みどのようなルートで太平洋につながっているか、さらには中国とのつながりも確認したいところだところだ。Pusan からPetersburgルートは遮断しているのは誰だ?P珍とあの兄妹の方々では、、、まあコロナもあるけど。いつになったらシベリア鉄道に乗れるのだろうか?「さらばシベリア鉄道?」は避けたい。

④中国国内においてすでに入試問題等を利用して確認している鉄道建設ルートの課題。さらに建設に対する融資をヨーロッパ諸国が行う意味を考えることができるか?

北京・南京ルートやあの武漢・広州からHKG(九龍)へ

⑤1875以後のイギリスの政府直轄領(インド帝国)になったインド大陸における鉄道網の濃さにも注目したい。これも前時の授業で実施したメディアリテラシーのプリントの中(岩波講座by岩波出版)で紹介した。喧噪と混沌のデリーで考えてみた動画は以下に!

https://video.wixstatic.com/video/d3aa22_dc094800f9204d03b3dd09b2c101f5be/1080p/mp4/file.mp4

そのプリントでは数字的な鉄道に関しての言及があるが、これを具体的に目で確認することができる。まさに英国政府がインド政府のインド側の要請を受けたが如く大量の産業革命によってもたらされた鉄の市場としてインドを活用している事例に他ならない。このためインドはその後大量の累積債務を英国に負うことになり、植民地支配の事例としてイギリス政府による搾取・略奪の象徴とも言えるものである。

What she did was,,,, 読み取り&出版社リテラシー - fujinosekaic’s 世界史授業備忘録

このことによってインドは後に第二次世界大戦後にイギリスと袂わかった際にも、その国家規模として身分不相応な鉄道線路を維持管理していくと言う責任をおわれた。経済力以上の鉄道網を残されたことで国内の成長にも多くの課題が残された。特に標準軌をはるかに超える広軌(日本の新幹線よりも広いレールの幅)を採用したことから、高額な建築コストにも悩まされてきた。そんな中での新幹線計画と言う今日的な話題にも日本政府が今日的に関係していることに気づいてもらえると嬉しい。今に繋げる歴史である。The longest (1.26 km) bridge under the project will be completed by July 2024. In Gujarat and Dadra and Nagar Haveli, 100 per cent of the civil contracts for the construction of the entire 352km route have been awarded to Indian contractors. (Representational image)

The longest (1.26 km) bridge under the project will be completed by July 2024. In Gujarat and Dadra and Nagar Haveli, 100 per cent of the civil contracts for the construction of the entire 352km route have been awarded to Indian contractors. (Representational image)=

上記写真はあくまでイメージです。Fakeとまでは言いませんが、まだ計画段階の政治案件です。

地図上には日本は出て今いないが、日本の鉄道建設国有鉄道からJRへの歴史を考える際にもほぼ同じ時期の展開であり、富国強兵政策の一環として鉄道網を整備した明治政府の動きを把握することで日本と大英帝国との関係にも関心を持ってもらいたい。

⑥アジアを俯瞰できるか。マレーシア、インドネシア、中東(オスマン)

アフリカ 

次の授業時間では、BBC英国放送協会の子供向け番組から見た大英帝国ブリティッシュエンパイヤの歴史を学ぶ。特にその時期に女王だったビクトリアに焦点を当てた短い動画を鑑賞(風刺画的な動画)する。そこではヨーロッパのTiny little country小さな島国のイギリスの歴史を、これまでの授業の振り返りとともに再確認することも目的である。ある意味ではこれが試験範囲の再確認でもある。

 

これまで歴史上の鉄道に関する話題は大陸横断鉄道、いやそこで契約労働者として働いた中国から太平洋を渡った苦力=クーリーと言われる人を学んできた。また人の移動と言う視点から鉄道輸送や海上輸送に関しても学んできたさらに大陸横断鉄道を完成した1869年はスエズ運河の完成年度でもあり人と物の移動が大学入試問題にも多く取り上げられていることを紹介してきた。さらにこの鉄道の問題はイギリスによるアフリカ縦断政策としてカイロ・ケープタウンを結ばんとするセシルローズらによる展開も学んでいくことになる。こちらは有名な風刺画が掲載されていることからも学習が深まることを期待している。このような歴史的関係性、接続性を意識すればむやみに年表を覚えるだけではなく、虫食いの(穴埋め)問題、いやスカスカで単純なワークシートの暗記によらない学びが深まる。これこそまさにコンピテンシーベースの学習指導の一環である。メディアの信憑性や資料の読み取り方をどう学ぶかこそが大切な学びである。さらに、前後の授業を工夫することで更に当事者としての歴史認識が深まることになる。

 

次時の授業はBBCでmedia literacy からのVictoriaとThe Proms 最終日のコンサートから

それに続くのはCecil John Rhodesと3c政策なんて無いへ行きます。

大英帝国の繁栄の象徴としてのクイーンビクトリアとその時代の文化的背景として後に音楽等を活用し学習していく計画である。例えばBBCが毎年放送するプロムナードコンサートを紹介することで当時の音楽である『威風堂々』(Pomp and Circumstance)作品39は、イギリスの作曲家エドワード・エルガーが作曲した管弦楽のための行進曲を紹介する。パックスブリタニカを学ぶ際に教材として活用できるプロムナードコンサート。その中で演奏されるいくつかの曲の歌詞やメロディーを紹介することで奴隷にはならないと決意するイギリス国民や英国型植民地言われるブリティッシュエンパイアと言われるオーストラリアやニュージーランドなどのユニオンジャックを持つ方が同じ場所でふられているシーンを見ることで考える機会を提供したい。

 概念としてのパックス・ロマーナから

PAX Britanica =大英帝国を考える際に、歴史総合の中ではほぼ学んでいない歴史的事実の再確認が必要である。その語源に伴ったパックス・ロマーナは教科書では「ローマの平和」として直訳のみが紹介されている。しかしこれではローマ軍による軍事的支配や占領地での弾圧は予想できない。極端な意見ではローマによるハッピーライフと認識してしまう生徒も少なくない。またその後のイスラムによる勢力拡大をパックスイスラミかと表現したり、太陽の沈まぬ帝国としてのパックスエスパニョーラスペインの戦略的な支配やその後の植民地政策も平和的なものだと誤解する生徒も生徒も存在する。このパックスと言うラテン語はイタリア語で言えばPeace=

ピース英語のピースに相当するものではあるが、支配側にとっては平和で平和であるとしても抑圧と弾圧、武力による支配と言う暴力性を認識する必要がある。その意味ではパックスブリタニカの時代は多くの地球市民にとって不幸な歴史だったのではないだろうか。さらにさらにその後の展開としてパックスアメリカーナと言う歴史を学習する際には米軍支配による歴史を学ぶ大切な視点としてこれを捉えるべきではないだろうか。典型的な例である言えばベトナム戦争や中東政策がこれにあたるだろう。

Pax Britannicaパークス・ブリタンニカ)とは、イギリス帝国が世界的な覇権国家となり「世界の警察官」の役割を果たした期間における、列強間の相対的な平和の時代を指す用語。パクス」はローマ神話の平和と秩序の女神に由来する。ウィキより。

① 「世界史受験」を意識した生徒も少数ではあるが存在する中で教科書(実教309)のP211(第九章の4:主権国家体制の成立)からスタートした3年生である。世界史Aを選択した生徒もいる。それでも全P447(含む索引・年表22p)という世界史Bの半分程度も終わっていない中で、サッカー部付属高校としていかに生徒を「楽しませ」ながらも知的好奇心を高める努力をしてきた。本時では何とか到達した13章を総合的に学ぶ事になる。

② 楽しく・知的好奇心の喚起と知識の定着化

③授業 「線路は続くよどこまでも」どこまで、そしてその先にあるものは?と上記

④Teams でのリフレクションの提出と大学合格

⑤ 図上演習 机上の空論にならないためにも手を動かす 

⑥ 画像と音楽

⑦ 自由深度学習(個別対応型)として、プリント一部に今後の授業に関連する英文(英語の力は受験の力=英語力無いと一般受験は合格できない!)もプリント内には掲載。英国の縦断政策の裏にあるものは?銃弾と冗談?ではなくまじめな話である。

 

「威風堂々第1番」は1901年にリバプールにて初演、好評を博し、3日後のロンドン公演でも大成功を収めた。聴衆から2度のアンコールが求められました。この作品に感動した国王エドワード7世が「歌詞をつけて欲しい」と提案したのがきっかけで、「Land of Hope and Glory」(希望と栄光の国)の歌詞が付けられた。「威風堂々第1番」の中間部で歌われる。

undefined

正義のブリタニアも真ん中にいるし。カンガルーもレッドジャケットもいる。